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天に向かってつばを吐く

 
 
先日用事があって岐阜県の関市に行ってきました。関市は刃物で有名な土地です。買ったら高いけど一生もので、有名な板前さんからカスタムナイフ等を買い求めるマニアックな人まで集まります。私も一本ほしい♪でももったいなくて使えないかも・・・でも刃物は使って何ぼの物ですよね。私にはもったいないかも。うんうん
 
さて車を飛ばして関市に入ると、いつも見慣れた池があるのです。大きさは100メートル×50メートルほどの小さな池です。車で通るたび必ず横目で眺めるんだけど、釣りをしてるのを見たことがありませんでした。足場も良く天気の良い日に竿を振ったらさぞかし気持ちが良いだろうなって思っていました。この日もいつもの通り横目で池を見るとそこに三人の小学生がルアー竿を一生懸命に振っているのを目にしたのです。車を走らせながら私は『ブラックが釣れるのか…』そう呟きながらハンドルを握っていたのです。でもなんとなく気になりUターン♪池に戻ったのです。子供たちは対岸のコンクリートの踊り場で仲良く釣りをしています。私は車を池に沿った細い路地をゆっくり走り停める場所を探しました。しかし行き止まりの袋小路で民家の前で車をユータンしようとすると、そこに民家の住人らしき人が草むしりをしていたのです。いきなり車を庭先に突っ込まれた住人は私を睨んでいます。齢は70歳くらいで鎌を握ったまま仁王立ちしています。
私はこのまま引き返すのもなんだから挨拶だけは済ませようと決心。車から降りて大きな声で『こんちは!』って元気な挨拶をしたのです。鎌のじいちゃんは『お・・おう!』と戸惑いの挨拶を返してくれました。ここまで車で来たことの経緯を説明し不審者でないことを理解してもらったのです。以下鎌のじいちゃんとの会話はこんな感じでした。
 
私『この池には魚がいるのでしょうか。子供が三人竿を振っているのが見えたので魚はいることはいるんでしょうけど』
鎌爺『う〜ん、そうだな。鯉はいるな。赤いのもいるぞ』
私『鮒はどうでしょう』
鎌爺『フナ?わかんね!でもこの土地のもんじゃないやつがチョクチョク釣りしに来てるな。でも子供じゃないぞ。大人だ大人』
私『へ〜そうなんですか。何を釣りしに来たんでしょうね。私も今度来たら釣りしようかな。雰囲気も良いし♪』
鎌爺『釣りかあ・・・ここは釣り禁止なんだよな。うん。入口に看板あったろ。見なかったか?』
私『そうなんですか!見落としていました。でも子供はバリバリ釣りしていますね。ハハハ』
鎌爺『子供から遊びを取りあげたら可哀想だな。だから周りの住人は見て見ぬふりしてるんだよ。子供にゃ責任は無いしな』
私『何かトラブルか事故でもあったんでしょうか?まさか釣り人のトラブルとか・・・』
鎌爺『よそから来た釣り人だな。ゴミをそのまま置いていきやがる!朝早くから車を乗り入れるし、ひどいもんだ』
そして鎌爺は岸辺に指をさしてなおも言う。『ほれ!餌かなんかの空き袋とかペットボトル。見てみ』私は指さす方を見るとグルテン餌の空き袋が散乱していた。そしてその周辺にはペットボトルが3,4本散らばっている。鎌爺の言うには釣り人のマナーがあまりにも悪く近所の住人が市役所に苦情を言ったそう。そしてその後お決まりの立ち入り禁止令発令となったようです。
 
話を一通り聞いた私はなんとなく重い気分のまま湖面をぼんやり眺めていました。すると30センチ前後のヘラブナが5つほどゆったりと一列で泳いでるのが見えたのです。『あぁ・・ほんとにいるんだぁ』そう思わずつぶやいた私でした。
釣り人は釣り場を求めて走り回ります。しかしせっかくの釣り場を消してしまうのも釣り人なのです。これは本当に悲しいことです。
特に釣りをしたい子供にとってはもっと不幸なことだと思います。渓流を経験したことがある私が思うのは、川の流れが強いほど魚を釣る技術は高くなります。今回の様なこの池は子供にとって釣り入門にはもってこいの場所。こんな手頃でみじかに接しやすい釣り場をなくすことは、将来の釣り界にとって大きなマイナスだなってしみじみ思った工房茅春です。
そうそう!余談だけど帰り際、仁王立ちして私を睨んでた鎌爺は帰り際満面の笑みを浮かべて私を見送ってくれました。へへへ



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