ヘラウキ(へらうき・へら浮子) 

へら鮒釣りとマムシ酒

 
へら鮒(ヘラブナ)釣りをしていて出会いたくないのがナイター釣りの幽霊と熊そしてマムシです。
特にマムシは梅雨時のジメジメした時期に突如として現れます。クネクネと泳ぎ回り竿の近くまでやってくることもあるので困ります。比較的近場の秋神ダムや御母衣ダムにはマムシが多くて行くたびに出くわすことが多いです。道路から土手を降りていくまで噛まれるんじゃないか心配でロープを右手に持ち左手には棒をかざして歩く。マムシはその場から逃げないので誤って踏んづけたら大変なことになるからです。
 
秋神ダムでマムシを捕まえようと思い始めたのが4,5年前からです。マムシ酒が打ち身や湿布に効果抜群だからで、私も捕まえてマムシ酒をぜひ一本ほしいと思ったからです。
仕事場で1,5メートルほどの棒の先に二股を取り付け捕獲用の棒を作りました。あとは麻袋と一升瓶を用意。これらは全て地元の友達に聞きながら準備をしました。その年の7月に秋神ダムで釣りをかねて捕獲道具を持参しました。昼過ぎに近くを悠然と泳ぐマムシを発見し道具を持って追いかけたんです。岸辺に這い上がろうとしているマムシを待ち伏せしました。二股棒を持って悠然と構える私。と言いたいとこですが現実はへっぴり腰そのものです。噛まれたら大変だというのと捕り方は話で聞いてるだけで一度もマムシを捕獲した経験がない私は完全にビビッていました。そうこうしてるうちにマムシは岸辺に這い上がり石の隙間に逃げ込もうとしています。それを私は頭付近を二股で思い切って押さえつけます。マムシは驚いて太い胴体をクネクネさせて暴れます。見れば見るほど独特な模様の胴体、見るからに毒も体に効きそうです。話によると頭を押さえつけたまま右手で首根っこをきつく押さえつけ左手で尻尾の方を持ちそのまま麻袋の中に放り込む・・・そう聞いてたけど・・・
現実は二股で押さえたまま何も出来ない私がいました。完全にビビッて近寄れないのです。このままやめようかと思ったけどナントかほしいマムシ酒。意を決して腹に挟んでいた麻袋を頭付近に投げる。左手で棒を持ち右手で足下に落ちていた短めの枝で袋の口を開けました。とてもじゃないけどマムシの首根っこを手で押さえるなんて芸当は出来ません。左手で押さえた二股棒を押しつけながら袋の中に誘導したのです。恥ずかしながら何度か悲鳴を上げながらも上手いことマムシが袋の中に入りました。私はあわてて袋の口を足で押さえ紐で縛りました。なんとかマムシを捕獲した私はバケツの中に麻袋を入れ蓋をして釣りはそこそこに仕事場に戻ったのです。
 
さてこれからが問題です。捕まえたマムシを一升瓶に入れなければなりません。大きめの麻袋の中をそっと覗くと、とぐろを巻いたマムシが私を睨んでいます。三角の頭と気持ちの悪い目玉を見た瞬間私は友達のところに電話をして応援を頼んでいました。まもなくやってきた友達は早々に袋を足で押さえつけながら片手でマムシの首根っこを掴み一升瓶の中に尻尾から押し込んでいます。まるで人間に扮したマングースのようです。かなり離れたところでその光景を見ていた私は尊敬と心配で胸がドキドキしたものです。
 
無事にマムシを一升瓶に入れ友達は帰っていきました。瓶には5センチほど水を入れておきます。たまに水を取り替えてマムシのうんちをキレイに洗い流すためです。それを一週間ほど繰り返します。何も食べないマムシは死にもせずウンチばかりしてお腹の中は空っぽになりました。そしてやっと酒の出番となります。驚くことにマムシ酒専用の酒が売っているのです。
瓶の中でとぐろを巻いてるマムシにお祈りをしながらお酒を注ぎ込みます。口いっぱいになったところで蓋をしました。マムシはいきなり酒を注ぎ込まれて瓶の中でもがき苦しんでいます。最後の瞬間ゴポっと音を立てて酒を飲み込みました。飲み込んだ分若干瓶の中の酒の量が減ったようです・・・
酒瓶の中で漂うマムシ。気の小さい私は近くで見るたびに鳥肌が立ちます。しかし反面一年したら楽しみだと思う工房茅春です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
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